構造計算とは、建築構造物・土木構造物などが、固定荷重・積載荷重・積雪荷重・風荷重・地震荷重などに対して、構造物がどのように変形し、構造物にどのような応力が発生するのかを計算することです。また、構造物がそのような変形や応力に耐えられるのかを判定することも含まれます。構造物の安全性や使用性を確認するのが目的とされています。
01,木造住宅の構造の安全性確認法は主に3つ
木造住宅の構造の安全性を確認する方法は、主に3つあります。以下で説明する (1)の「仕様規定(壁量計算)」が最も簡易的な検討で、(3)の「許容応力度計算(構造計算)」が最も詳細な検討方法です。仕様規定・性能表示計算・許容応力度計算3つをまとめて「構造計算」と呼ぶこともあります。
1)仕様規定(壁量計算、四分割法、N値計算)による確認
● 木造2階建て以下
● 床面積500m2以下
● 高さ13m以下
● 軒高9m以下
このように、一般的な広さの木造住宅は「4号建築物」に該当し、確認申請で構造計算書の提出が不要です(4号特例といいます)。そのため木造2階建て住宅は、構造計算されていないことが多く「仕様規定」に則って設計されています。「仕様規定」とは、壁量計算・四分割法・N値計算の3つの簡易計算と、8つの仕様ルールがあります。ごく簡易的な計算で、計算書はA3図面1枚に収まることが多いです。
2)性能表示計算による確認(品確法)
品確法で規定されている住宅性能表示制度による計算では、(1)の壁量計算に加えて、床・屋根倍率の確認と床倍率に応じた横架材接合部の倍率も検討します。住宅性能表示制度とは、平成12年4月1日に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づき、住宅の性能を評価・表示する制度です。住宅性能表示計算では、耐震等級2以上が保証されるほか、長期優良住宅認定やハウスメーカーで耐震等級を確認する際にも活用されます。
3)許容応力度計算による確認(構造計算)
許容応力度計算は、ご紹介した3つの安全性確認方法の中でもっとも詳細な計算です。木造3階建て住宅では構造計算が義務化されていますが、複雑で手間も時間もかかるため、2階建て以下の木造住宅では省略されがちです。許容応力度計算による構造計算書は、数百枚になります。
02,木造住宅の「許容応力度計算」とは??
許容応力度計算とは、構造の安全性を確認する方法のうちの1つです。構造計算ソフトを用いて柱や梁、接合部の全てにおいて安全を確認します。主な検討項目は以下の通りです。
● 壁量計算
● 壁の配置バランス
● 水平構面
● 柱頭柱脚の接合方法
● 柱や梁、横架材など部材検討
● 基礎設計
● 地盤調査
● 地盤補強工事
3階建て以上の木造住宅には許容応力度計算書の提出が義務づけられていますが、2階建てや平屋の木造住宅では義務ではありません。そのため、一般的な広さの2階建て木造住宅では、構造計算をしないことが多いです。
1)なぜ、木造住宅は構造計算されることが少ないのか?
では、なぜ構造計算をせずに耐震等級3認定の建物を建てられるのかというと、型式適合認定を受けているからです。あらかじめ国土交通大臣または指定認定機関から、一連の規定に適合すると認められた「型式適合認定」を受け、そのルールに則って設計しているため、構造計算が省略できるのです。それに対し、手がける年間棟数が多くない工務店や設計事務所等でも、構造計算を行い、耐震等級3認定を取る会社が増えています。簡単な見分け方は、会社のウェブサイトに「全棟、構造計算による耐震等級3を取得しています」等の文言があることです。自社で許容応力度計算ができれば、構造の安定性を踏まえた設計がしやすく、住宅プラン変更にもすぐ対応できる点で良いのですが、構造計算を外部の構造事務所に依頼していても問題はありません。許容応力度計算がオプション料金になっている場合、計算費用は20~30万円程度です。
03,許容応力度計算と耐震等級
参照:
一般社団法人耐震住宅100%実行委員会木造住宅(在来工法)は、許容応力度計算を行い、安全性を確認することで、耐震等級3認定を取ることができます。耐震等級1の1.5倍の耐震性能を持つ「耐震等級3」は、これから木造住宅を建てる人におすすめです。はじめにご紹介したように、仕様規定・性能表示計算・許容応力度計算いずれも「構造計算」と呼ばれることがありますので少し注意が必要です。耐震等級3を取得するために構造計算を依頼したい場合は「許容応力度計算で耐震等級3を取りたい」と伝えるといいでしょう。
04,あすなろ建設×R+house沖縄市南は、全棟許容応力度計算による耐震等級・耐風等級、最高等級を取得。
沖縄県は、特殊です。他の都道府県に比べ、風の基準が非常に高い。そのためしっかりと計算に基づいた、安全性を確保する必要性があります。