沖縄の気候と住宅
日本の中でも温暖な気候で知られる沖縄は、そのイメージ通り12月であっても比較的暖かい気温を保っています。12月の平均気温は18.7度もあり、最高気温の平均は21.2度と、本州にお住まいの方にとってはまるで春のように穏やかな環境に思われます。一方で、周囲を海で囲まれている沖縄は風が強くなりやすいため、最低気温の平均は16.3度ありますが、実際の体感温度はもっと低く感じられます。
冬至の時期になると寒波がやって来ることも多く、北風が強まって海が荒れるケースも珍しくありません。平均気温や最高気温が高いとはいえ、冬は寒く感じますので快適に暮らす為には住宅の高性能化は必然です。
高性能住宅とは「高気密高断熱住宅」、つまり夏は涼しく、冬は暖かく快適で、省エネルギー効果があって耐久性にも優れている住宅のことを指し示します。暑さや寒さを感じず、一年を通じて快適な住宅は、健康面でも多大なメリットがあることは様々な研究で判明している為、ハウスメーカーや工務店、もちろん弊社も高気密高断熱住宅のすばらしさを広めています。
しかし沖縄の気候を考える上で、切り離せない湿度の問題があります。沖縄は一年を通じて湿度が高く、月平均相対湿度は冬場でも70%弱、梅雨の時期には80%以上に達します。本土の梅雨時期や真夏でも月平均相対湿度は70~75%程度なので、沖縄の湿度がいかに高いかがわかります。
高気密高断熱住宅では気密性が高いため、湿気を逃がしづらく結局はエアコンや換気システムで強制的に湿気を取り除いて外へ排出する必要がありました。住環境の快適さを求めると致し方ない部分もありますが、何か他に方法がないかと考え、弊社では通気断熱WB工法を採用しました。
湿度と内部結露の関係
湿度は、大気中の水蒸気の含有量を示す指標であり、湿度が高いと室内の空気中に多くの水蒸気が含まれています。湿度が上昇することで、室内の快適性が低下し、様々な問題が発生する可能性があります。
特に
内部結露という現象は、高湿度気候の沖縄で頻繁に発生します。内部結露は、室内の湿度が高い状態で、冷暖房設備や窓ガラス、壁、天井などの冷たい表面に水蒸気が凝結する現象です。沖縄の高湿度気候において、特に夏季に冷房を使用することが一般的です。冷暖房設備が冷房モードに切り替わると、室内の温度は低下しますが、湿度は低下しづらいため、室内の湿度が高まったまま冷たい表面に水滴が凝結しやすくなります。これが内部結露の発生です。窓ガラスや壁、床、天井などの冷たい表面に水滴が形成され、これがカーテンや家具、床に滴り落ち、カビの発生源となります。特に、カーペットや木製の家具は湿度の高い環境では湿気を吸収しやすく、カビの繁殖に適しています。内部結露によるカビの発生は、見た目の問題だけでなく、健康へのリスクも伴います。
「人体」に与える悪影響
湿気の増加は、アレルギーやアトピー性皮膚炎などのアレルギー関連の疾患にも影響を与える可能性があります。以下に、湿気がアレルギーおよびアトピーに与える影響について説明します。
カビやダニの増殖
湿気が増すと、カビやダニの繁殖が促進されます。これらの微生物はアレルギーの原因となる物質を放出し、アレルギー症状を引き起こす可能性があります。特に、ダニは湿度が60%以上の環境で繁殖しやすく、アレルギー性鼻炎や喘息の原因となります。
アトピー性皮膚炎の悪化
湿気の増加は、アトピー性皮膚炎の悪化を引き起こす可能性があります。高湿度の環境では、皮膚の乾燥が防がれるため、かゆみや炎症が増加し、アトピー性皮膚炎の症状が悪化することがあります。
アレルギー症状の増加
湿気の増加は、アレルギー反応を引き起こすアレルゲン(花粉など)の拡散を助長する可能性があります。湿気が多い環境では、花粉が水分を吸収しやすくなり、空中に浮遊しやすくなるため、アレルギー症状が増加することがあります。
皮脂の増加
湿気の多い環境では、皮脂の分泌が増加しやすくなります。これは、アトピー性皮膚炎やニキビなどの皮膚トラブルを悪化させる可能性があります。
「人体」に与える悪影響
総じて、湿気が増すことでカビやダニの繁殖が促進され、それがアレルギーやアトピー性皮膚炎の症状を悪化させる可能性があります。また、湿気の多い環境では花粉の拡散も増加し、アレルギー症状が増えることがあります。そのため、アレルギーやアトピー性皮膚炎を抱える人々にとって、湿度管理は非常に重要です。
「建物」に与える悪影響
湿気が住宅に与える悪影響は以下の通りです
カビやバイ菌の発生
高湿度の環境では、や壁床などの表面に水分が凝結しやすくなります。この結露が続くと、カビやバイ菌の繁殖が促進され、健康リスクをどうしても恐れます。また、カビやバイ菌が木材や建材に侵し、建物の構造を崩壊させることもあります。
室内の空気の品質の低下
高湿度の環境では、換気が仕方ない場合には空気中の汚染物質が許容されやすくなります。特に換気が行われない浴室やトイレなどの場所では、カビやバイ菌の発生がより考えられることがございます。
建材の劣化
高湿度の環境では、建材や家具などの木材製品が湿気を吸収しやすくなります。これにより、木材が膨張して歪みや亀裂が生じる可能性があります。これらの劣化は住宅の耐久性や美観に影響を与える可能性があります。
過度のエネルギー消費
高湿度の環境では、冷房や除湿機などのエネルギーを消費する機器を頻繁に使用する必要がある場合があります。これにより、家計に追加の負担がかかるだけでなく、環境への負荷も増大する可能性があります。
「建物」に与える悪影響
これらの悪影響を軽減するためには、適切な湿度管理が必要です。換気や除湿、断熱・気密性の向上など、住宅の設計や管理において湿度をコントロールする取り組みが重要です。
通気断熱WB工法とは?
W BREATH = ふたつの呼吸 という意味です。
ひとつめの呼吸は、「家の呼吸」です。
気温の変化で反応する形状記憶合金を使った仕組みで、壁の中の空気をコントロール。
夏は、壁の中の空気を流して室内の空気を快適に保ち、
冬は、外の空気を遮断し、気密性と断熱性を上げることで、室内の熱を逃がしにくくします。
もうひとつの呼吸は、「壁面の呼吸」です。
伝統的な土壁が持つ湿気を通す作用を応用し、季節に応じて、家そのものが呼吸する仕組みを開発。
室内の化学物資や臭いを、屋外に排出するしくみです。
湿度があがりにくいので、カビの抑制にも効果を発揮します。
このふたつの呼吸により、「人」も「家」も、更には「地球」が健康でいられる家が完成するのです。
高温多湿の日本では「湿気対策」が住まいづくりの原点です。
「家は夏向きにつくれ」と言われるのは、風通しの良さが、家を長持ちさせるための秘訣だからです。
あすなろ建設は沖縄の湿度対策として、WB工法を採用しました。
通気断熱WB工法にするメリット
01.湿気を吐き出す
同じ室内温度でも湿度によって体感温度はとても変わります。
WB工法では湿気をコントロールする為、カラッと快適に過ごすことができます。
02.カビが発生しにくい
湿度を低く保てるということは、カビが発生しづらいということです。
風邪をひいていないのに、くしゃみや鼻水が止まらない・・・。
そんなアレルギー症状を引き起こす主な原因となっているのがカビやダニです。
室内ダニはカビを好物としているため、カビが繁殖している場所にはダニも発生しやすいということがわかっています。カビ・ダニを増やさない、できるだけ減らす対策として、まずはカビ・ダニの住みにくい環境をつくることが重要です。その第一条件が、家の中の湿度を50%以下に保つことです。
03.湿気やニオイがこもらない
空気を密封させずに家が呼吸する通気断熱WB工法では、室内の臭いも湿気とともに壁を透過して屋外に排出されます。そのため、室内でペットを飼っている場合でもペットの匂いが少ない、部屋の中でたこ焼きパーティーをしたり、魚を焼いてもすぐ抜ける、と言われています。室内に入った瞬間、空気が綺麗に感じるのです。
04.エアコン省エネ効果
通気断熱WB工法では、壁の中に空気を通し湿気を排出するため、夏は室内の湿度が低く抑えられ、自然に起こる上昇気流が無駄な熱も排出してくれるので、冷房に使う電力を減らすことができます。冬は暖房した空気を逃がさないよう開口部を閉じることで断熱性を確保しているので、暖房に使う電力も減らすことができます。
05.健康に暮らせる
シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドは家具や建材から発生する発がん性物質です。通気断熱WB工法では機械換気をしなくてもホルムアルデヒドが湿気とともに壁の外へ抜けるため、安心して暮らすことができます。また高湿度だと壁内結露の可能性も上がります。結露はカビの原因にもなるため湿度コントロールは必須となります。高気密・高断熱の室内では、湿度も中々抜けづらく、ホルムアルデヒドが室内にこもり濃度が下がっていく事はありません。このような状態ではシックハウスの危険性があるため、24 時間換気を常に回しておく必要があります。
通気断熱WB工法の夏と冬
暑い日には、各所の通気口(ヘルス)が自動的に開き、自然換気を行います。
床下の通気口から入り込んだ外気は、床下地面の冷気とともに第二通気層を上昇し、
ハットヘルスから排出される冷却層をつくり、家全体に涼しさをもたらします。
一方で冬の寒い日には、各所の通気口(ヘルス)が自動的に閉じ、保温効果を高くします。
第二通気層は保温層となり快適な暖かさを保ちながら、透湿性の部屋壁や木材と共に
呼吸効果を発揮し続け、健康的な環境を維持します。結露も起きづらい住環境になります。
年間を通じて暖かいとされる沖縄で夏の蒸し暑さにも対応でき、
気温が低くなり風の強い寒い日にも快適に過ごせる、それが沖縄県での通気断熱WB工法なのです。
かねてからあすなろ建設では、「人」と「住まい」が健康になる家を考え提供していきたい思いがありました。通気断熱WB工法を採用したことでより、理想の住まいを提供できる、そう考えています。